ビションフリーゼは純白の被毛、性格の良さなど、内面、外面にわたる魅力がある犬種。“ヌイグルミのような”という形容詞がぴったりのビションフリーゼは、これから日本の中で人気犬種として定着していくことでしよう。

ビションフリーゼの人気犬種としての登場の仕方は、他の犬種といささか異なった趣があります。犬種それ自体は、新しいものではなく、むしろヨーロッパ最古の犬種といっていいほどの歴史を持つ犬種です。地中海沿岸に分布していた犬種・ビションの末裔といわれ、出身地はカナリヤ諸島と考えられています。

現在のビションフリーゼのトリミングを考え出したのは、アメリカのトリマー兼ハンドラーだったサバラ氏とウオーターマン氏の二人。彼らの考え出した、現在の化粧パフのようなトリミングで、一気に人気犬種に駆け上がりました。

ビションフリーゼの原産国はフランス及びベルギーとされています。“ビション”とは愛くるしい又は、飾るという意味で、“フリーゼ”は巻き毛の意味。つまるところ、“巻き毛で飾られた犬”という、見た目そのままのネーミングにすぎません。

まず、白という被毛の色でしょう。日本人は白から清潔感などを感じとります。その中に顔の表情を作る真っ黒な目、鼻、口が愛らしさを訴えかけてきますから、その可愛らしさはちよっと抗しきれません。

また、大きさも、大きくもなく、小さくもなく、日本の家庭にはうってつけの犬種ではないでしょうか。小さすぎると関節や骨に問題が起こることがありますし、大きな犬種は家庭事情が許しません。

邪魔にならず、気にも止まる犬種ということになります。もう一つ、陽気で快活な性格のよさです。また、頭もいい犬種で、覚えやすく忘れにくいということがあります。ショーマナーなど、展覧会の当日は、ほとんど復習の必要もありません。もちろんこれだけではありませんが、ビションの魅力はこうした点に集約されるのではないでしようか。

ビションにとって、手入れは、生まれてから死ぬまでとても大切なことです。生後7、8ヶ月までは毛玉にはなりにくいのですが、手入れのまねごとみたいなことは4、5ヶ月頃はじめてのトリミングをする頃から始ましよう。最初は、スキンシップのつもりで、おとなしく手入れをさせることを教えます。

次に、テーブルの上でリラックス(横向き)した状態でお手入れをさせることを教えます。これがマスターできると、シャンプー時、手入れのとき短時間でしかもきれいに仕上がります。なぜ毛玉になるのか、その結果どうなるのか、そうしないためにはどうしたらいいか勉強しましよう。

●生後7、8ヶ月頃になりますと、アンダー・コート(ビションの特長であるふわっとした感じを出す大切な毛)が出てきます。これが毛玉の原因をもたらします。毎日ピンブラシで根本よりていねいにグルーミングしてください。もし毛玉があるようでしたら、コームでていねいにほぐしてください。この時、痛い思いをさせるとお手入れの嫌いな犬になり、後々、大変なことになってしまいます。

●被毛が伸びすぎても毛玉になりやすくなります。
根本までピンブラシがとどかないため、被毛の中ほどより上の部分は、一見してよく手入れされているように見えますが、根本は毛玉でギッシリ、被毛も最低1、2ヶ月に1度はカットする必要があります。

●被毛の汚れも毛玉の原因になります。(いくらていねいにグルーミングしても、すぐに巻いてきてしまいます)。

●手入れ用具の選択と、使用上の注意点。
スリッカーブラシで毎日のお手入れをします。ブラシの歯が短いため、根本までとどかず、毛玉になりやすいということと、スリッカーブラシを強く使いすぎたために、アンダーコートを切ってしまうことになります。

●ダニ、ノミ、皮膚トラブルの場合も毛玉になりますので、手入れの時にチエックをするとよいと思います

●シャンプー、タオル・ドライの時にも毛玉になります。
もちろんシャンプー前には毛玉がないかチエックをしてからシャンプーしますが、洗い方もセーターを洗うときのようにつまみ洗いをお勧めします。ドライもタオルで水分をおさえるように、ていねいにしてください。

最後に、決定的なことは、毛玉をつくらないことです。
慣れてくれば10分くらいでできます。ビションの被毛を維持管理することは、特別な技術は必要ありません。根気よく、めんどうがらず、ていねいに行ってください。一般のオーナーとプロのトリマーの違いはこんなところにあると思います。今日からがんばってトライしてください。

あなたのビションも、見違えるようなビションに生まれ変わりますヨ。

スタンダード(ビションフリーゼの犬種標準)

__一般外貌__

ビションフリーゼは小さくて丈夫な、パウダーパフのような犬で、揚々と背中にのせた羽根飾りのような尾と好奇心の強そうな表情は陽気な性格をうかがわせます。

__サイズ__

雄も雌も9.5~11.5インチ以下、12インチ以上は許容範囲外です。

__頭  部__

_目_

丸く黒または、黒褐色。
大きすぎる目、アーモンド型の目は欠点です。
ヘーロー(目の周りの黒い部分)は目にアクセントをつけたり、表情を強調するのになくてはなりません。

_耳_

垂れ耳で、鼻に向けて伸ばすと耳たぶの先にマズルの半分くらいまで達する。
目の位置より少し高い所、スカルのやや前方に付いています。

_スカル_

わずかに丸い。

_ストップ_

わずかにアクセントがある。

_マズル_

_鼻_

突き出していて黒。四角っぽい。

_唇_

黒く、垂れてはいない。

_噛み合わせ_

シザース・バイト

__首__

アーチした首は長く立ち上がった頭部の後ろに誇らしげに付く。
スムースに肩につながり、後頭部からキ甲までの長さは前胸から後臀部のおよそ1/3。

__トップ・ライン__

トップラインは平行ですが、腰の上の筋肉のところは少しアーチしています。

__ボディ__

胸はよく発達していて広く胸部の一番下は肘まで達する。
あばら骨は適度に張りがあり、短く筋肉質に腰まで達する。
前胸は肩の前方に少し突き出ている。

__尾__

豊かな羽飾りおようで、トップ・ラインに平行にのり背中の上でカーブしている。尾付が低く、背に対して垂直になったり後に下がっていたり、螺旋の尾は駄目です。ビションほど尾付や尾の上げ方で全体的な見かけが変わってしまう犬種はおそらく、それほどないでしよう。

__肩__

A(前胸)、B(上腕)、C(肩甲骨)はおよそ同じ長さです。
肩はだいたい45度近く傾き、上肢はよくのびているので真横から見ると肘がキ骨の真下にあります。

__足__

前足はまっすぐで、肘はボディに近くついている。パスターンは垂直よりわずかに傾斜
、適度に傾斜したパスターンは地面からの衝撃をうけて吸収する役割を果たします。
垂直なパスターンは地上からの衝撃をもろに受け犬の前部を揺るがすことになります。
後足は筋肉質な大腿が良い角度で適度な間隔でつく、腿の上部と下部はほぼ同じ長
さでホック・ジョイントがパッドまでの足は地上に対して垂直です。
握りはかたく、丸く猫足でパッドは黒。

__コート__

下毛はやわらかく豊富で、上毛は荒くややカールしています。
この2種類のコートにより、ソフトで密度の濃い、ベルベットのような触り心地で、軽くたたいても押し返します。

__色__

白ですが、耳の囲りやボディにパフ、クリーム、アプリコットの影があっても全体の10%
をこえなければ良い。
パピーは、色がついて生まれてきたり、生後しばらくすると色が出てきたりすることがありますが、これらは12ヵ月以下であればゆるされます。

__歩 様__

トロットの時の動きは、横から見ると、前足と後足は容易なリーチと推進力を伴いながら同じように良く伸び、安定したトップ・ラインを保ちます。

動いている時は、頭と首は幾分立ち上がり、スピードが増すにつれ、とてもわずかであるが足はセンター・ラインに集まる。

後足のパターン(ホックから足先まで)が最後部から垂直なラインより伸びることが必要です。